高知は全国的にみても銭湯不毛地帯だろう。
この潮湯は残存する希少な銭湯である。
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高知の銭湯はどれも唐破風造りのようなマニアを垂涎させるものではない。
ファサードはのっぺりしていて色気がない。
いかにも遊郭街のランドマーク然とした絢爛たる銭湯も好きだけど、ここまで凹凸のないミニマルな造りも興趣をそそられる。
見たまえよこの侘びた世界。
こうしたプリミティブなデザインもまた、日本の銭湯文化のいち様式なのである。
銭湯というのは建物の機構がそうなっているのか、脱衣所はエアコンが入ってなくともカラリとしていて湿気がない。
古さゆえのホコリ臭さも感じさせず、床は磨き抜かれている。
許可をとって浴室も撮らせてもらった。
湯船がひとつの、こちらもミニマルスタイル。
女湯との敷居にタイルモザイクで描かれた錦鯉。
石庭風の飾り石に植木鉢をミックスするスタイル。
ちょっと笑えるのが画像右手。
カランと鏡が交互に設置されてる。
鏡を正面に見ながらカランを使えないので、ひげ剃りのときなどは半身をずらしてひょっこりはん状態となる。
番台は座椅子を置いて足を投げ出すスタイル。
大将のその姿がキュートだったので撮影を申し出たが、写真は勘弁してくれと番台を下りてしまった。
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しばし大将と歓談。
かつては高知市内に13軒ほどあった銭湯も今は6軒ほどになったらしい(そんなにある?)。
そんななか土佐清水にある旭湯が最近ボイラーを新調し、あと10年は続ける宣言をしているらしい。
土佐清水は漁師町で、よそから漁師がやってきては2〜3週間滞在していくから銭湯の需要がある、というのは興味深い話である。
ちなみに旭湯に併設するコインランドリーのフリークアウトっぷりは一見の価値があるので、いずれレポートしたい。
玄関を開け放つと外から「男湯、女湯」の表記が見えなくなってしまうのも潮湯らしいおかしみである。
男湯は左、注意されたし。
さて、湯を浴びたらビールをひっかけたくなるのが人情というもの。
この近くで気の利いた呑み屋がないかと問うてみたが、それもひとつ減りふたつ減りして今は大通りまで出ないとないということだった。
せっかく風呂に入って新しいTシャツに着替えたのに、換気の悪い焼き鳥屋でモクモクと煙に巻かれながら呑みたい、という強い願望がある。
それが叶う街がどこかにないものか。