今期ビームスがオリジナルで出す短パンがまさかのバギーシルエットなど、90年代リバイバルはこの夏もゆる〜く続くようで。
90年代の銘品は数あれど、今回驚きの復刻となるのがこれ。
リーボックのビートニック。
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中心で縫い合わせたレザーのアッパーに、チープなナイロンのストラップという異素材感。
そして強烈なインパクトのあるシャークソール。
どんな靴系譜ともリンクしない異形のサンダルであるが、フォークロアな雰囲気も持ち合わせていて着合わせの幅は思いのほか広い。
何よりころんと丸っこいこのフォルムが懐かしい90年代の匂いである。
このビートニック、各方面からの長年の要求にもかかわらず復刻されることはなかった。
先日、高知のセレクトショップ「ジーンズファクトリー」で見つけたときには「お、よくできた類似品」と思ったものである。
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ところで、ファッションが20年周期というのは本当で、90年代には70年代のヒッピーカルチャーがリバイバルしていた。
実際に70年代に青春期を過ごした大人たち、あるいは若くしてそうした文化に傾いた人たちはネオヒッピーと呼ばれた。
ビートニックが発売された90年代初頭、好んで履いていたのはそうした人たちである。
長く伸ばした髪と髭、燻したような色の服、音楽に詳しくてボクらが憧れの目で見ていたアウトサイダー、その足元にこのビートニックが圧倒的に似合っていた。
ちなみにビートニックの名前の由来は、70年代からさらに遡った50年代の「ビート文学」で間違いないだろう。
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズといった作家たちは「ビート族」、あるいは「ビートニク詩人」と呼ばれた。
2010年代は「テン年代」という言い方をするようだ。
90年代から20年を経て、テン年代も終わろうとするこの時期に復刻したことにはリーボック社の、あるいはビートニックのデザイナーの問いかけがある。
テン年代のカルチャーとは何だったのかと。
答え合わせは20年後である。