【31日目】決意!

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休養日

松山ではもう1泊して今日は休養日とする。行きたい所もある。

朝はのんびり、起きたら7時過ぎ。

昨夜のもう1人の同宿人は福島県からのおじさんだった。おじさんは「お接待です」と缶コーヒーを奢ってくれた。

やや横柄な態度が気になったが、話は興味深かった。

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放浪する被災者

おじさんは遍路ではなく、東日本大震災の被災者だった。

経緯は不明だが震災後、福島県から野宿しながらここまで歩いてきたという。

テントはアライテントからの支給、メシは行く先々のセブンイレブンで被災者だと証明すれば弁当を貰えたらしい。

地元の銀行に預けてある金がいまだにおろせないこと、しばらくこの「道後あい」にやっかいになってること、今日は被災者の会合があって道後温泉の高級旅館に泊まれることなどを陽気に話した。

テントなしで歩いてみる

さて、休養日ではあるが、午前中に52番太山寺と53番円明寺を打っておくことにしよう。

ちょうどいい機会だからテント類一式がなければどれくらい軽くなるか試したらいい。

ザックからテント、フレーム、マットを取り出した。

そしてこの道中で、野宿でいくかテントを送り返すかを決めなくてはならない。

背負ってみると驚くほど軽い。

使いもしない重荷を背負って歩いてたのかと思うとバカみたいだ。

送り返すべきか

送り返してしまおうかと思った。悩み、逡巡した。

送り返せば歩みは軽快になるだろうが後悔はしないか。

といってこの先の野宿情報はほとんど持っていず、どこにでも寝場所を見つけるほどの強さがボクにはない。

野宿をして四国を歩くということにボクはロマンを見出していたはずだ。

勇気がないからといってそれを簡単に捨ててしまっていいのか。

52番太山寺を打つ。

ときめくのはどっちだ?

どうすればいい?どうすればボクは満足できる?結論は出ない。

「迷ったらときめくほうを取れ」みたいなこと、誰かが言ってたな。

ときめくのはむろん野宿だ。

ためらっているのは疲れ切って汚れ切った体を見知らぬ街の隙間にねじこむ自信がないからだ。

結論

53番円明寺を打ち終え、JR伊予和気駅に着いた。

ボクは結論を出した。ラスト1週間余り、野宿を満喫することにしよう。

不安だが後悔するよりはマシだ。

何もテントで寝るだけが野宿ではない。

通夜堂や善根宿なども遍路ならではの非日常的な宿泊である。民家にお接待で泊めてもらう体験ができれば最高だ。

ようするに安心と快適を金で買わなきゃいい。

そう考えるとときめきが不安を凌駕するのだった。

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行きたかった所

宿にザックを置いてすぐまた出かける。

JR松山駅の売店で缶ビールを買って呑んだ。

下灘駅

目的はJR下灘駅。絶景の夕陽スポットである。

18時頃到着、帰りの電車の19時半までたっぷり1時間半、うんざりするほどのんびりと絶景を堪能した。

昨日と同じ居酒屋で

昨日と同じ居酒屋でイシイくんと呑む。

あとで道後温泉にも行こうということになった。

「道後あい」にハギモリさんが泊まりに来ていると聞いて驚いた。

ひと晩お世話になった高知の善根宿の管理人、遍路地図に赤えんぴつで野宿地、無料宿泊所、善根宿、進むべき道を記してくれたあのハギモリさんである。

まさか松山で再開するとはすごい偶然である。

目と鼻の先にいたのに

歓談していたら遅くなった。

時計を見ると道後温泉本館の受付終了の22時半。

居酒屋から徒歩10秒、慌てて向かうが22時半ジャストで閉まっていた。

通りがかりのおばさんが「もう閉まったよ。きっちり時間通りに閉めるんよ」と教えてくれた。

目と鼻の先にいたのにと思うと残念である。

宿に戻ったらすでにハギモリさんが鼻ぢょうちんを膨らませていた。

さあ、明日からは野宿の構えだ。

この先にエキサイティングな展開が待っていることを、このときボクはまだ知らない。

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