【30日目】葛藤!

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残り1週間余り

遍路を始めてちょうど1ヶ月、まわった札所は45ヶ寺。

数としては八十八ヶ所のようやく半分を過ぎたところだが、遍路道としてはそろそろ終盤に差しかかる。

愛媛の松山からは札所が集中していて、1週間と少しもあれば終わると聞く。

心残りがある。

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野宿は?

長らく野宿ができていない。

安心と快適を優先して宿に泊まってばかりだ。

資金が潤沢でないのもあるが、野宿遍路にロマンを見出して臨んだ初心を忘れてしまっている。

使わないテントは重荷でしかない。

今後も宿に泊まり続けるならテントは送り返してしまうほうがいい。

松山で結論を

ここからは主に街中を歩くことになるから、野宿はこれまで以上に難しいはずだ。

野宿地の情報もほとんど持っていない。

どうするべきか、松山で結論を出そうと思う。

松山へ

昨夜泊まった「八代生食堂」をスタートしてすぐ、唐突に久万高原がスパッと切れて終わった。

遠くにに松山市街が見える。

急勾配の山道を一気に下る。

じいさんと最敬礼

畑仕事をするじいさんと遠目に目が合った。

声の届く距離ではないので、互いに片手をあげて挨拶をした。

それからじいさんは背筋を正して、帽子をとり深々と頭を下げたのだった。

ボクもそれに倣って互いに最敬礼をした。

札所密集地帯

46番浄瑠璃寺、47番八坂寺を打つ。

イシイくんは昨夜この47番八坂寺の通夜堂に泊まったのだ。

重信川を渡る長い橋から石鎚山の山塊が見えた。

48番西林寺さいりんじ、49番浄土寺、50番繁多寺はんたじ、51番石手寺いしてじを打つ。

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14時で打ち止め

時間は14時。

次の52番太山寺たいさんじは市街地から離れてしまう。戻ってくるのも億劫なのでちょっと早いがここで打ち止めとした。

イシイくんとは、道後温泉街にある善根宿「道後あい」で待ち合わせている。

2000円ほどで泊まれるハギモリさんオススメの宿である。

道後温泉

51番石手寺からほどなく、伊予鉄の道後温泉駅に出た。

駅前は観光客でごった返していた。

大勢の人が行き交う商店街の店と店の間、見逃してしまいそうな小さな扉が「道後あい」の入り口だった。

扉の奥に隠れ家のようなスペースがあり、宿舎棟、リビング棟、トイレ棟がそれぞれ独立して建っていた。

善根宿「道後あい」

宿舎棟は2階建て。1階が宿泊スペースでベッドが3つ並んであった。

2階へ続く階段口に立つと、上から数人の男女の談笑が聞こえた。

ひとつのベッドにザックが置いてある。先客のようだ。

イシイくんのではない。

リビング棟にはダイニングテーブル、冷蔵庫、洗濯機、シャワーがあった。

シャワーを浴びて洗濯をした。

コスプレの街ガイド

無防備に敷地内をパンツ一丁でうろついていて、なんか視線を感じるなと思ったら、隣のはちみつ屋から丸見えだった。

朝からろくに食っていない。コンビニの冷やしとろろそばとビールでメシにした。

洗濯物を干していると宿舎棟の2階から妙な格好の男女3人が降りてきた。

夏目漱石の小説「坊ちゃん」のコスプレらしい。街の観光ガイドだそうで2階を控室に使っているらしい。

イシイくんとの再開

ようやくイシイくんが到着。

イシイくんのほうが先に着くはずなのにどこで油を売ってたのかと尋ねたら、52番太山寺と53番円明寺を打って電車で戻ってきたらしい。

なるほど、53番円明寺は近くにJR伊予和気駅があり電車で松山市街まで戻ってこられるのか。

ボクは地図をよく見ていず、午後を無為に過ごしてしまった。

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これまでとこれから

夜、道後温泉本館の前にある居酒屋へ行った。

イシイくんとは高知の宿毛以来の再開だ。

これまでの話、これからの話をした。

葛藤

ボクは野宿への葛藤を吐露した。

今後の遍路道では野宿は難しいというのはイシイくんも同意見だった。

イシイくんはテントは持たないが、マットなどの野宿道具を送り返して身軽になってこの先を一気にまわるのだと言った。

ボクはまだ迷っている。

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