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Contents
「知らん道」を始めた経緯
「知らん道をゆく」シリーズも次で20回。
この区切りで改めて、本シリーズの成り立ちみたいなものをご説明しておきたい。
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ほとんど山
高知県は総面積の8〜9割が山林。
遊び場は少ない。
「なんかオモロいことなーい?」となおざりに過ごしていたら、アタリのないピンボールみたいにひろめ市場かイオンモールにすとんと落ちて休日が終わる。
遊びの資源
田舎では「遊び」に対して能動的であるべきで、もっといえばクリエイティブにならないと「遊び」の資源はすぐに尽きる。
ボクは高知の山林に「遊び」の金脈を求めた。
山中への興味
もともと、街から見上げる山の上の建造物、崖の高所に張りいた集落、トンネルの上の旧道、無数に枝分かれした生活道、そういった場所に行ってみたい強烈な欲求があった。
気になる場所を2、3クルマで訪ねたりもしたが、なにぶん高知の山道は道幅が狭く、なかなか気楽なドライブというわけにいかぬ。
バイクでピクニックを
そこで思いついたのがバイクである。バイクなら細道だってへいちゃらだ。
景色のいい場所で弁当食ったりコーヒーを野点するなどいかにも愉快だ。
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ちょっとしたオフロードも走れるHONDAのクロスカブの購入を検討したが、金額的に手が出なかった。
チャリならどうか
マウンテンバイクなら家にある。
乗るには10年近いブランクがあるけど、ものは試しと山を上ってみれば案外スイスイだ。思ったより体は鈍ってない。
チャリなら金使わんし運動にもなるしこれはいいなと。
好奇心の向くままに山道を徘徊してみたらこれが滅法面白く、それを誰かに伝えたくなって書いたのが「知らん道をゆく」である。
ちなみにタイトルは司馬遼太郎の「街道をゆく」のもじり。
司馬遼太郎が「街道をゆく」の連載を始めたのが47歳、ボクが「知らん道をゆく」を始めたのが47歳というのは偶然の一致。
土地勘を鍛える
「知らん道をゆく」ことの面白さはひと言では説明できないけど、ボクが移住者であることは関係してると思う。
引越し先の知らない街で生活基盤を整えたり、土地勘を鍛えていく過程って単純に楽しい。
「知らん道をゆく」のはその拡張版のようなものだ。
チャリ散歩
チャリ遊びではあるがスピードは出さず、リザルトも追わない。つまりスポーツ的なチャリの乗り方ではない。
どちらかといえば散歩に近い。
作文としては出来事の羅列ではなく、景色や気持ちの移ろいとか訪れた土地の歴史、派生した関心事なども交えて、チャリに関心のない方にも読み物として耐えうるコラムを書ければと思ってやってる。
さて、本題へ。
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ムードのある水路
今回は野市から龍河洞スカイラインへ、ひと山越えて龍河洞を過ぎたら県道385号へ入る。
山の食堂Hanaの少し先の分岐を右折して文代峠へ抜けるという流れ。
龍河洞スカイラインに入る手前で道を間違えて、やけにムードのある水路に出くわした。
天然でない、見るからに人の手が築いた水路。
野中兼山ワークス
なんと野中兼山ワークスである。
野中兼山といえば山田堰や手結港などを手がけた土木のスーパープロデューサーで、京都でいえばの角倉了以のような存在。
兄弟橋
灌漑のために1本の川を3本に分岐させ、本流から別れた2本の水路は平走して流れ、野市の田を潤したと書いてある。
その2本の水路にかかる橋をそれぞれ兄橋、弟橋とし、兄弟橋として親しまれたらしい。
古い欄干が残されている。
ローカル小道を抜けて
ローカルな道をショートカット。
正面にシャトー三宝の廃墟を望む。
すんごいDIYな橋。
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龍河洞スカイライン
龍河洞スカイラインに入るとシャトー三宝の廃墟が眼前に迫る。
当初は遊園地、レストラン、博物館などの複合レジャーランドだったと聞く。
香長平野を見渡す。
この道は坂を上るほどに眺望のご褒美がある。
12月とは思えぬ暖気に早くも汗だく。
向かいはパプアニューギニア
尾根筋に入ると赤岡方面を見渡す。
田園風景の向こう側に茫漠とした太平洋が横たわる高知の原風景。
この先はパプアニューギニアまで何もない。
鎌井谷ダム
ちょうど山北のみかん畑群の真上あたりに出た。
前に行ったことある鎌井谷ダムが眼下に見える。
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龍河洞のそば屋
龍河洞まで下る。
評判のそば屋、石州でそばでもと思ったが行列ができてて諦めた。
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今日の知らん道
県道385号のこの分岐を文代峠方面へ。
ここからが知らん道。
この道、Googleマップで細く表記されてたので狭隘で荒れてるのかと思ったら意外にも整備されたキレイな道。
快適である。
10%オーバーの急勾配もあり緩急に富んでる。
チャリ禅
通るクルマもなく、スピードも出ない山中の登坂では、チャリを運転しているという感覚が希薄だ。
軽いギヤをクルクル回すだけなので神経を使うことがなくまるで自動運転である。
頭はヒマだから考え事をしたり、かに道楽のCM歌を歌うなどするわけだ。
そのうちファッと脳のある部分だけが寝落ちしたような忘我の状態になることがある。
その間は記憶もすっぽりと抜け落ちている。
瞑想のようであり、サウナでいうところの整いであり、アウトローな懲りない面々がいうところのキマったであり、禅でいうところの心身脱落底のようでもある。
ボクはこれを「チャリ禅」と呼んでおり、なぜかこの日は頻繁に記憶がとんだ。
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秋葉林道
文代峠へ出る手前に「秋葉林道」の記念碑があった。
ここにあるくらいだから、今ボクが走ってるのが「秋葉林道」なんだろうが、これとは別の秋葉山の稜線を通る道を「秋葉林道」という人もおり、正確な林道の範囲は不明である。
文代峠
文代峠に到達。
「塩の道」として知られる県道30号である。
塩の道
海辺から山奥に塩を運ぶため拓かれた道を「塩の道」と呼び、同様の道は日本各地にある。
看板によると現在「塩の道」として保存整備しているのは赤岡から大栃までであるが、これはほんの一部で、当時は各方面に分岐し、徳島の祖谷まで繋がっていたらしい。
なんだかロマンのある話、塩を運ぶ仕事は楽しそうだ。
峠の茶屋はどこへ行った?
「文代峠店屋跡」の看板。
いわゆる峠の茶屋だったのだろうが、店を赤岡へ移転して和菓子の老舗になってるという話がある。
店名を特定できなかった。ご存知の方あれば教えてください。
山北みかん
山北みかんは甘味と酸味のバランスが好き。薄皮が口に残らず食べやすいし。
ひと袋買った。
チャリにサドルバッグを付けるとこういう買い物ができていい。
自走で行ける知らん道がだいぶん限られてきた。
クルマにチャリを積むキャリアは持ってるのでボチボチ遠征もしたいな。
ソロキャンプしながら知らん道を探訪するのは楽しそうだ。