年末年始を休まず営業し、遅めの冬休みをとった。
我が家の休日のディレクションはボクの役目なんだが、なかなか行き先が定まらない。
和歌山にイルカのすき焼きを食いに行く、長崎の超能力喫茶あんでるせんへ行く、飛行機で東北へ飛んで秘湯巡りをするなどなど、アイディアは迷走するばかり。
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情熱的に行きたい場所がないなら無理に遠出せずともよい。
宇和島あたりに侘びて呑むか、と落ち着きかけた頃に読んだのが「ホルモー六景」だった。
映画化された「鴨川ホルモー」に登場する脇役たちのスピンオフ短編で、どれもジワッとニヤッとする話ばかり(以下ネタバレ注意)。
舞台は京都。
四条烏丸、三条木屋町、百万遍、北白川、八瀬、八百卯、六道珍皇寺、といった場所が出てくる。
ボクは20代に京都にハマった時期があって、ゆっくり京都を歩いてみたくなった。
作中の「長持の恋」という短編は、「鴨川ホルモー」に登場した”おたま”こと細川珠実と、安土桃山時代に生きる青年、柏原なべ丸が時空を超えて文通する話。
織田信長の家臣で、本能寺の変で命を落としてしまうなべ丸には実在のモデルがいる。
三条御池の本能寺には「本能寺の変」の討死者の立て札があり、ここになべ丸の名もある。
この「柏原大鍋・小鍋」という兄弟のどちらかがなべ丸だが、作中で詳らかになっていない。
「大鍋」がなべ丸で「小鍋」は弟という説もある。
おそらく作者の万城目学氏は本能寺を訪れて、看板に偶然この兄弟の名を見つけたのだろう。
そして「おたまとなべ」のシャレからこの「長持の恋」を着想したのではなかろうか。
そうしたインスピレーションをもたらす京都という街に改めて興味がわいた。
つーわけでいざ京都。
エースホテルでの苦虫ツヨシさんのエキシビジョンの期間とも重なった。
ダブ山ジャズ男さんのミックスCDのアートワークで苦虫さんを知り、2021年11月には3Fでの個展も観に行った。
その流れで大衆酒場Day&Seaに寄って下さったご縁がある。
ポップの毒割り、あるいは手塚治虫のユーモア割り。
飄々として軽妙洒脱。
久しぶりに真冬の京都を体感したいという欲求もこの数年あったな。
靴を脱いで底冷えする板張りの廊下を歩く。キンと張った空気に佇む枯山水は格別の趣。
音楽を合わせるなら小杉武久だな。
ここは大徳寺塔頭の龍源院。
初めて訪れたのはもう20数年前になる。コンパクトな庭が強烈に印象に残る。
今回の京都旅でメチャお世話になった岡崎さん。
高知にルーツを持つ京都ネイティブにしてカメラマンである。
高知にもちょくちょく遊びに来られていて拙ブログ「ガタリ夜話」を通じて知り合った。
ぎょうざ湯や井倉木材を教えてくれたのは彼だ。
※関連記事
京都の銭湯「ぎょうざ湯」でディープリラ〜クス!最高の娯楽をワンモッタイム! | ガタリ夜話
高知では何度かご一緒させて頂いているが、京都で岡崎さんと呑むというのも今回の目的のひとつ。
学生時代にくるりの岸田氏とバンドをやってたとかいないとか、くるり結成時に誘われたとか誘われていないとかの怪人でもある。
京都に住みたくなった。
5年後をめどに移住してみようかとか想像してみる。
京都の街が持つ深み、苦味、嫌味、歴史、狂気、色気、ノイズ、陰翳を自分のものにしたい。
とりたてて京都が優れているのではない。
いつだってFeel Goodなチョイスでいたいだけだ。