かつての徳島港は吉野川の流出砂により水深が浅く大型船が近づけなかった。
代わりに四国の海の玄関口として機能したのが、徳島市からもアクセスのよい小松島港である。
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大量の人流が生まれ街は繁栄する。
が、徳島港の整備が進み玄関口の座を奪われると衰退の一途をたどる。
それだからかネット上にこの街の宿泊情報はほぼ皆無といっていい。
そんな小松島市で一泊してきたので、いつか誰かの役に立つやも知れぬと宿のレビューを残しておく。
橋の下ではエイが泳いでいたりもするので要チェキ。
宿泊したのは「みどり旅館」さん。
6畳和室、トイレ風呂共同、1泊素泊まり5720円(税込)だからボクの肌感覚でいうと安くはない。
そこは競合の少ない街ゆえ致し方ない。
お部屋も寝具も清潔で申し分なし。
大浴場ものんびり体を伸ばして浸かれるのがうれしい。
ご家族での経営だろうか、宿の方も親切丁寧である。
館内に自販機がないので、飲み物は各自用意のこと。
みどり旅館HPより
ここは名物のちらし寿司も有名である。テイクアウトもできるらしい。
メチャメチャ美味そうだ。
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小松島には「阿波の狸合戦」の伝承があり、アニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」のモデルとされる。
街のいたるところに狸のモチーフがあり、「みどり旅館」の公式ブログも「ぽんぽこブログ」である。
小松島は衰退の一途と先述したが、2021年に入って流れが変わってきてるらしい。
スノーピークのグランピング施設が4月に、ビジネスホテルチェーンのスーパーホテルが7月にオープンしている。
特に全国ホテルチェーンの参入は勝算あってのことだろうから、今後の街の変化にも注目したい。
小松島の名店「赤いのれん」さん。
この日は月曜で定休日だったが、すでに2020年間に閉業したとの話も聞く。
小松島の旧繁華街は広範囲にわたる。2km四方に酒場が点在している。
はしご酒するならチャリが必要なほどに以前の街はデカかったのだ。
「焼き鳥よこた」の大将は「昔はたくさん飲食店があった。ウチの向かいは鮨屋だった」と往時を偲ぶ。
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2014年に群馬の「富岡製糸場」が世界文化遺産に登録されたが、その真の価値というのは当時働いていた工員たちの小さなドラマの集積であり、建物はそれを象徴しているに過ぎない。
小松島港も同様で、船で出入りする外からの人流とネイティブとが摩擦して、大小様々なドラマを繰り広げただろう。
そうした人間模様の受け皿であり舞台であったのが「みどり旅館」であり「赤いのれん」なのだなあと思うと、その街への感慨もひとしおである。