シリーズ「知らん道をゆく」第9回!蓮台〜小坂峠〜メメントモリ!

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※ ルート詳細はナビタイムで!

後付けにはなるが、今回のテーマはメメントモリ。

メメントモリとは「いずれ死ぬことを忘れるな」とか「死を想え」といった意味のラテン語である。

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人生はよく旅に例えられる。

長い旅の途中にふと、メメントモリな気分を経験をした方も多いのでは。

ボク自身、四国遍路を歩いたときに死の匂いが貼りついたような日があったし、この日のチャリ行もそれに近いものがあった。

とりあえずは蓮台(れんだい)の里山を見物して山越え、それから先は場当たり的にという軽いノリ。

塚ノ原〜横内の北側にあるニュータウンの丘陵を上って、鏡川まで下る。

鏡川支流のこの小川を辿った源流に蓮台集落はある。

そしてここにも人生の三叉路。

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チャリで山越えなぞ気が知れんという向きも多いけれど、ボクからすればこの快楽を知らないなんてと申し上げたい。

まあしんどいし、時に無間地獄ではないかと思う坂もある。

が、その苦痛ゆえの脳内麻薬の分泌、退化しつつある第六感への刺激、風呂でのスーパー禊感、サウナと水風呂がもたらすサイケデリック体験、メシとビールの味は言わずもがな、疲れマラと呼ばれる性欲増進、超熟睡などなど、人間の根源的欲求である充足と平安が詰まってるんである。

いずれにせよ普段の快適さやスムーズさの中に、意図的に難渋やノイズを挟むのはとても大切なことだと思う。

傾斜しないバランス感覚というか。

蓮台は戸数が多く、比較的大きな集落だった。

南に開けた谷筋であり、日当たりよく景観も美しい。

蓮台について何も知らなかったのでネットで調べたところ、官報の行旅死亡人のTwitterアカウントが見つかった。

行旅死亡人とは昔でいう行き倒れ、いわゆる身元不明遺体のことである。

2007年に蓮台の山中で自殺と思われる白骨遺体が見つかり、高知市が無縁仏として弔ったことを伝えている。

住所、氏名、年齢、性別すら不明なのに、「心当たりの方は申し出て下さい」の記載がやりきれない。

ちなみに、平安京では一般死者を弔うのに風葬という方法を用いた。

火葬でも土葬でもない、所定の場所に放置ということである。

風葬の地として化野(あだしの)、鳥辺野(とりべの)、蓮台野(れんだいの)という地があったのは何の符号だろうか。

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ひと山越えて亀ヶ淵神社まで下った。

ここから上り返して、馴染みのある柴巻集落に出る。

景色が杉木立に変わった。

針葉樹特有の葉がとっ散らかってるが、道はさほど荒れていない。

さて、この先はノープラン。

ひとまず柴巻からさらにひと山越えて小坂峠まで出た。

小坂峠から街までの下りルートは選択肢が少ない。

基本は県道16号、通称”オモテ正蓮寺”の一択である。

オモテ正蓮寺には歩道がないし、路肩もないに等しいのでチャリで下るのは危険千万。

あとは県道269号で白木谷経由、南国市まわりで帰るルートしか思いつかない。

新たなルートを探索してみるか。

この道標。

「四国のみち」ってのは本州でいうところの「東海自然歩道」みたいなもんである。

ほうほう、ここを行けば麓の土佐神社まで3.5kmか。

つうか左の石柱はアスファルトに埋もれとるやないか。

進んでみると、すぐに先行き不安な未舗装路になったので引き返す。

そこから少し西走して、今度はこの分岐を右折してみる。

ブリタニア乗馬倶楽部は休業中(2021/2/21現在)と貼り紙がしてあった。

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簡易舗装の山道になった。

そしてゴルフ場にぶつかった。

見て、ネットが腰の高さまでしかない。

ゴルファーが打ち損じた球が目の前に転がってきたり、頭上の小枝をシュバっと貫いたりして危険千万である。

その先で完全なトレイルになった。

Oh!マジか。

ここから先はGoogleマップアプリは役に立たない。

「国土マップR」という国土地理院発行の地形図のアプリに切り替える。

ちなみにこの視点の右側は馬の墓群だった。

墓石の代わりにそれぞれ馬のイラストの立て札があったのだ。

近くのブリタニア乗馬倶楽部が死馬を弔ったものだろう。

興味本位で写真に撮ることはできなかった。

ボクのチャリはマウンテンバイクなんだが、街乗り向けに細いタイヤに替えてるのでトレイル走破に向いていない。

けどもうやぶれかぶれじゃ、土佐神社までダウンヒルじゃー。

と、すぐにトレイルから簡易舗装に変わった。

少しホッとする。

なぜなら簡易とはいえ舗装をしてるのならばクルマが通るということだ。

麓まで通じてるのはまず間違いない。

尾根が途切れ、崖に出る。

崖の下は土砂採取場と思われる山をえぐった場所。

街から高知インターの北側に山肌をえぐったのが2ヶ所見えるんだが、ここはその上のえぐりと思われる。

下のほうのえぐりまでは行ったことある、OK、ゴール見えた。

かなり荒れたこの道を下っていく…………ん?…………!

アンビリバボ、マジ卍?

簡易舗装の表面のコンクリを残して、土台の土がゴッソリ崩れてしまってる。

乗れば板チョコみたくパキッと割れて、人生詰むだろう。

ちょっと待て、ボクが今立ってる場所は大丈夫なんか?

改めて足下を確認する、足震える。

引き返すしかないが、かなり下ってきたのでガッカリ感ハンパない。

強行突破?さすがにヤバいよね。

ボクがここにいることなど誰も知らない。

崩れて滑落したとして、発見されるのは何日後だろうか。

街からすぐのこの場所で、下手打って干からびるなぞ御先祖に言い訳が立たぬ。

簡単には死なないが、あっさり死んじゃうのが人間である。

メメントモリ。

死を想え。

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