今回は四国のマンチェスター伊予三島まで、高知から四国を縦断するチャリ一泊旅。
簡単に四国縦断というなかれ、山越え谷越えハードな道のりである。
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少しひんやりとする夜明け前。
天気は最高。
旅の道連れと合流し6時にスタート。
目標は17時、伊予三島着。これから11時間チャリをこぐのか。
彼岸花はグロテスクで好きじゃない。便所の香りキンモクセイは好き。
秋だね。
眺望が開けた。
「あれが物部川じゃろ」、「あれが三宝山じゃろ」なぞ、ガキのように得意げに。
穴内川ダム湖にさしかかり、、、
ここを左折して北上。本山町へ抜ける赤荒峠を越えていく。
しばらくぶりのチャリだからか調子が上がらない。キツい。
ちょこちょこ休憩をとりながらの登坂となった。
10時すぎ、赤荒峠に到達。
四国山地の大きな壁を一枚越えた。
棚田を横目に一気下り。
本山町に出てからは国道を避け、あえて入り組んだ路地を縫って進む。
なぜロスの多いルートをとるかと言うと国道はクルマで通ったことがあるから。知らん道を行くマインドはブレない。
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土佐町の末広ショッピングセンターに心地のいいイートインがあった。
弁当・惣菜はバラエティに富んで美味そうだ。
焼きめし、のり弁、メンチカツ、唐揚げ、スパサラ、お好み焼きもええな。
親子丼とコロッケに着地。
ここからは県道264号を北上する。
汗見川に沿って緩やかに上り、白髪隧道で愛媛県へと抜けるのだ。
「汗見川ふれあいの郷清流館」手前のここが高知県側最後の自販機である。
次は愛媛県側へ下るまで水分補給はできないので真夏は要注意。
汗見川の清流を横目にジリジリと上る。
このあたりどんな景色を見てたのか、どんな気分でいたのかほとんど思い出せない。
長時間ペダルをクルクル回すだけの超ミニマルな運動のせいで、脳が思考をエスケープしていたらしい。
身体的には苦痛を感じているが、頭は半分寝ているのだ。
チャリで坂を上るのは好きだけど、「ヒルクライマー」とか「坂バカ」という言葉はしっくりこない。
スポ根ではなくどちらかと言えばスピったノリだから、ボクはこの遊びをチャリ禅と呼んでる。
にこ淵をひとまわりでっかくしたような升淵というスポット。
さぞかし絶景であろうが下りる道がない。ゆえに訪れる人はいない。
県道264号は汗見川の源流点に近い谷の奥で180°方向転換すると、一気に尾根へと駆け上がる。
頭上にガードレールが連なっているのが見えるが、ここは峠をトンネルでパスするので少し気が楽である。
短い坂瀬隧道1号2号をくぐって、もうひと踏ん張りすれば、、、
白髪隧道が姿を見せる。この向こうは愛媛県だ。
コウモリとかがいる怪しいトンネルを想像してたけど、思ったより小綺麗で安心した。
それでも800mほどとまあまあ長く灯りもないので、単独行ならそれなりに恐怖である。
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愛媛県側の下りがクッソ荒れていた。
さらに断続的に未舗装区間が現れたりして走りにくいことこの上なし。
道路標識に三島の文字。ゴールが見えてきた。
長い下りで冷えた体を温めようと、この先の自販機でホットコーヒーを飲んだ。
まだ9月。
山間部の自販機のホット導入は早い。
金砂湖から少し上り返して最後の難関、法皇トンネル。
1.6kmある。
1車線のうえ歩道がないので戦々恐々と臨んだが、思ったほどクルマ通りもなく比較的安全に通過できた。
法皇トンネルと抜ければ眼下に瀬戸内海と、伊予三島を擁する四国中央市が見えた。
はるばる旅してきた感に浸る。
ビジネスホテルマイルドにチェックインたのが18時ジャスト。
6時スタートから結局12時間かかった。
風呂と洗濯を済ませて夜の街へ。
寿司を皮切りに3件ほどハシゴ。
行きたかった路地裏の怪店「にゅうのや」さんは間も無く閉店とのことで入れず。
伊予三島の夜は早い。
伊予三島は街のどこからでも、24時間煙を吐く大王製紙の煙突が見える。
街のランドマークであり、ネイティブにとっては自分の生まれる前からそこにあった空気のような存在だろう。
帰郷すれば懐かしさとともに見上げ、呑んだ帰り道には無意識にチラと見上げてしまう。
大王製紙の煙突は伊予三島の人のアイデンティティである。
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ビジネスホテルマイルドは素泊まりにプラス495円でこの朝メシが出る。
なるたけ早く出発したいボクらにとって、6時から食えるのもありがたい(HPでは6時半からの表記だが)。
2日目、帰路も同じく白髪隧道で県境を越える。天気予報は芳しくない。
案の定、県境越えの峠道で降り始めた。
山中はあっという間にガスが立ち込め、クッソ荒れた道は侵入者を拒むかのよう。
道を横切って森へ消えていく雄鹿の尻が見え、10頭ほどのイノシシの群れが斜面を駆け下り、路上に鎮座するガマガエルは逃げようともしない。
獣たちの領域である。
鉢合わせは危ないので警笛のように口笛を吹き、舌をタンッタンッと鳴らしているとアドレナリンが分泌しハイになった。全く疲れを感じずグイグイ上っていく。
人間が本来持っている獣性のようなものがボクを支配し、獣たちと対話している錯覚を覚え、獣たちの領域に同化していく。
チャリに乗っていると稀にこの「獣性のようなもの」が前に出ることがある。そして「獣性のようなもの」と「第六感」は同義では?というのがボクの持論だ。
チャリはそういう領域へ連れて行ってくれるデロリアンなのかも知れない。
冷えた体を温めるべく、またも末広ショッピングセンターへ。
この寿司2コシリーズは何種類かあって、カップメンとのセットにちょうどいい。やるな末広ショッピングセンター。
秋の日はつるべ落とし。工石山を上りきったところで暮れてしまった。
これはヤバい。
蜘蛛の糸のごときライトを頼りに、暗闇の中を10kmの下り。
下手なジェットコースターよりスリルがある。
おかげさま、無事故無野糞で帰還。
今回は2日目にドラマがあった。
ハイになる方法って人それぞれ。
ボクはチンタラとチャリでパスハントするのが合ってるかな。