この世でいっちゃん美味い!
と、思わず鼻息荒くなるお好み焼き屋がここ。
大阪地下鉄、玉出駅前にある象屋さん。
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注文は焼きそばミックスの大、ならびに豚玉を各自1枚ずつ。
通いはじめてそろそろ20年になるがブレずに毎度これ。
焼きそばは中太麺。
麺一本一本がラードでコーティングされていて具材も麺同士もズルズルとすべる、その様がまたそそられる。
ムンムンに蒸してあるから、麺を持ち上げればボウと蒸気があがる。
ひとくち目のその蒸気を吸いこむと嗚呼、象屋に来たなァと実感するのだ。
微妙にひしゃげた楕円形の、これが象屋の豚玉。
ソースは己で。
ソースはシャバシャバの甘口と辛口、どろっとしたどろソースの3種がある。
ちなみにどろソースが一番辛い。
おわかりだろうか。この豚玉、表面を完全に豚肉が覆っている。
どこを切っても豚肉だ。
以前大阪ローカルのTV番組で知ったのだが、ロースとバラ両方の部位が入るよう特別にカットしたデカい豚肉を使うらしい。
お好み焼きはコテだけを使って食うのがいい。
味が変わるわけではないけど、おにぎりが箸より手で食ったほうが美味く感じるのと同じ原理である。
一人一枚の割り当てだから野暮にパーティ切りしなくともよい。
ちまちまとひと口大に切っては口にほりこむ。
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小さく切ると生地から豚肉がズリ落ちるけどドントマインド。
剥き出しになった生地部分に追いソースをしたり、一味を振るなぞすればよい。
ところで、美味いと教えられて足を運んだものの、実食して拍子抜けしたという経験はないだろうか。
それは料理だけ食って推薦人の思い出を食わないからである。
木を見て森を見ずだ。
嬉々として美味い店を紹介しているとき、その人は味のデータを伝えているのではない。
フィーリングや思い出なんかも込みであなたに伝えようとしているのである。
個人の主観と味そのものは区別すべきとの意見もあろうが、そんなものは当の本人にしてみれば無意識に感受しているのであって、「ボクの思い出を共有しないなら味は3割減るなあ」とは言わないのである。
まあ象屋のお好み焼きはボクの思い出なぞまぶさなくとも充分に美味いのだけど。