「白龍湖」。
読みは「はくりゅうこ」でいいの?「ぺーろんこ」じゃないよね?
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「与作狸」っつうのは多分ここが国道439号沿いだから。
と思ったら「與作狸伝説」なる由緒書きが。
ご丁寧に「実話」と銘打ち、なぜか文中には「與作狸」というワードが一切出てこない荒唐無稽ぶり。
文末に「白されや 大蛇と狸 紅葉山」という俳句があるが、大蛇も出てこない。
安政年間としてあるから、この伝説が個人の創作でないとするなら国道439号のほうが與作狸伝説に寄せたことになる。
こちらは伝説の改訂版のよう。
内容も俳句も微妙に違う。
いいね、こういうの嫌いじゃない。
隣には「白龍荘」という建物がある。
何のための施設だったかは不明で、閉鎖されていてトイレも使えない。
肝心の白龍湖は国道から河原へ下ったところにある。
徹頭徹尾、胡散臭いムードがつきまとう。
白龍湖という名所を行政が整備した感じはなく、金持ちの変わり者が道楽でこしらえたDIYパラダイスの匂いがぷんぷんだ。
ネット上には地元の建築会社が造ったという情報があった。
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これが白龍湖。
見ての通り池である。
猫を虎に、蛇を龍に、池を湖に格上げしようとするセンスは明らかにバブルの落とし子のそれだ。
ウワサ通り異様に水が青い。
写真はスマホで撮って加工はしていない。
地質に石灰質を含むためこのように青く見えるらしい。
洞窟「白龍洞」を抜けると向こうの橋に繋がる造りになってる。
白龍湖は自然の池ではなく造成池である。
白龍荘、白龍洞、与作狸とその伝説などなどをすべてひっくるめたパラノイアックな珍スポット、それが白龍湖である。
昭和後期からバブル期にかけては、こうした意味不明なパラダイスやインディー宗教施設が日本各地に造られた。
金持ちが道楽で、でも信念を持ってというパターンなんだが、多くは大衆の理解を得られず不名誉にも負の遺産などと呼ばれるフリークアウト物件だった。
昨今では珍スポット、B級スポット、パラダイスなどとして一部の好事家にウケている。
2021年に解体が決まった淡路島の「世界平和大観音像」もそうしたフリークアウト物件のひとつだろう。
ファスト、サブスク、ミニマルライフでなんでも「そこそこ」な現代人からはこんなエモい物件は出てこないだろうな。
コンプラでがんじがらめの芸能界から勝新みたいなのが出てこないのと同じように。