地魚にたどり着くには食べログではなく産直市が最短
旅先では地のものを食べたい。それが人の性。
特に海に近い場所だったら魚系はおさえておきたい。
しかし食べログで検索すると、ランチが食べたいのにヒットするのは夕方から営業の居酒屋ばかりというのはよくある話。
うまく営業時間に合致したとしても、そのお店が地の食材を使っているとは限らない。
そこで提案したいのが「産直市」という選択肢。
産直市は道の駅に併設されていることが多く、最近は単体の施設も増えてきた。
魚が食べたいのに産直?と思うなかれ。
産直市は野菜だけではない。惣菜、弁当などを扱っているところも多いのだ。
そうした加工食品を扱っていて、海が近ければ、ほぼ間違いなく地魚の刺身がおいてある。
産直市にわざわざインド産マグロを持ってくることはないから、間違いなく地元産とみていい。出どころがはっきりしている。
で、まあ、その手の刺身の美味いこと。
この夏、高知で立ち寄った産直市を紹介しよう。
魚なら絶対ハズさないここ
まずは高知西南のランズエンド、大月町にある道の駅「ふれあいパーク大月」。
エメラルドグリーンの海で知られる柏島へ行く拠点となるところにある。
ここの産直市は非常にレベルが高い。
野菜もさることながら、魚の品揃えがハンパない。スーパーの鮮魚コーナーなど太刀打ちできぬほどの充実ぶり。
しかも安い。
鮮度低下の足が速いと言われ、都会では見かけることのないメジカもこの値段。
しかしメジカを一尾買ってどうやって食べるんでしょ?
やっぱり刺身?
ネイティブの食べ方、興味あるなあ。
野菜も安すぎて、ここへくると妙にたぎってしまう。
わんさか入って一袋100円ほどのししとうは、加熱してもへこたれず形を保つほど新鮮。
BBQで焼いて食うとほんとに美味なので是非。
朝飯にいなり寿司とハガツオの刺身をチョイス。
皮付きのほうの身はグリグリと弾力のある食感。
高知では山菜を使った田舎寿司があるけど、このコンニャクいなりもその部類だろうか。
道の駅にはベンチ&テーブルがたくさん置いてあるのでそこで食べてもいいし、2階のレストラン「まぁるいお月さん」ではご飯とみそ汁だけ注文すれば、買った刺身を持ち込んで食べることもできる。
絶景ビーチを望むアートな道の駅
もう一軒は黒潮町にある道の駅「ビオス大方」。
目の前の入野浜は長さ4kmにおよぶ超ロングビーチ。砂浜を美術館に見立てて開催されるTシャツアート展が有名。
ここは産直市自体の規模こそ小さいが、土産品とともに野菜や惣菜類を扱っている。
レストランではカツオたたきバーガーなる珍グルメも食べられるのだが、惣菜を買ってベンチで広げることにした。
ダシのしゅんだ貝めしとマグロの刺身を交互に口に放り込むこの幸せ。
まだ午前中だったけどビールをポンイチいただいちゃいました。
卵焼きもサンドイッチも、素朴でギラついてなくて、作り手の顔が見えるような味であった。
作り手の顔といえば、こうした惣菜には必ずラベルに生産者の名前が書いてある。
地元のバアちゃんが朝暗いうちから作ってるのかなあ、パック詰めから納品まで自分たちでやるのかなあ、とか想像がふくらむ。
飲食店の少ない地域なの
で、車中泊してるサーファーらは朝飯難民にならず重宝してるんじゃないかと思う。
食品を加工することは、商品に付加価値をつけることでもある。
生卵を2個100円で出してもなかなか売れないが、卵焼きにすれば300円で売れるのだ。
地元の高齢者がこうしたビジネスに参入できるのは、道の駅があるからこそだ。
野菜だってもっと加工していい。
高知の野菜は安くて美味い。
ただ旅行者がそれを口にするには少々ハードルが高い。
いかんせん量が多すぎるのだ。その場で手軽に食べられるようにすれば、行きずりの者も高知の野菜を体験することができるのに。
カットしたトマトやキュウリにドレッシングを付けただけでも、需要はあるはずだがそうした商品は見たことがない。
ここはもっと力を入れていいジャンルだと思う。
ところで道の駅ビジネスってどういう仕組みなんだろう。
道の駅側とバアちゃんは直接取引きなんだろうか。
それとも道の駅に商品を卸す権利みたいなのがあって、その元締めを通すんだろうか。
というわけで、海に近い道の駅、産直市に行かれる際は、マイ醤油の持参をおすすめする。刺身に醤油付いてないこともあるので。