「鹿男あおによし」を読んで!奈良の記憶はいつも秋!

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万城目学の「鹿男あおによし」を読んだ。

「あおによし」とは古都奈良にかかる枕詞である。

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実家は奈良に

ボクの実家は奈良にある。

奈良でも大阪よりの生駒市というところで、鹿と大仏で知られる観光地奈良には実はあまり馴染みがない。

馴染みはないが思い出はある

記憶が正しければ最後に訪れたのは8年前だ。

とは言え、若き日の思い出が点在する土地であり、作中に登場する平城宮跡や奈良健康ランド、近鉄新大宮駅や紀寺町といった実在の場所に私的な思い出を重ねつつ読みすすめた。

テクノパーティの名は?

「あおによし」と言えば専門学生だった19歳、同じ奈良の級友と若草山で野外テクノパーティをやろうという話になった。

イベント名はやっぱ「あおによし」やろ!と大爆笑だけして計画は頓挫。

秋の気配がする夜で、ボクはTシャツにコール天のシャツを羽織っていたことを覚えている。

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彼女がほしいバカ高校生2人

高校2学期の中間テストと言えば10月か。

天理に住む友人宅で一緒に試験勉強をした帰り、近鉄天理線の前栽駅前でグダグダとダベった。

テスト勉強から早く解放されたいという話からの、解放されたらお互い彼女作ろうぜと2人で怪気炎を上げた思い出がある。

バカである。

ペシミスト専門学生

やはり専門学生時代、学校に行くのがイヤになった時期がある。

生駒から近鉄電車に乗って難波まで出たものの、急にペシミスティックな気持ちになりトンボ帰り。

生駒を通り越して新大宮駅へ。

そこから平城宮跡を散歩して、ひと駅歩いて西大寺駅からまた近鉄に乗って帰るという愚行を繰り返していたことがあった。

あれも秋である。

腐れ縁の女

奈良の山奥に住んでた腐れ縁の女友達がいる。

20代前半、何の用だったか一緒に奈良の繁華街にいて、日が暮れてから奈良公園をブラブラと歩き誰かの悪口を言いながら散歩をした。

秋の夜風が気持ちよく、妙にロマンチックな気分になったのを覚えている。

緩やかに起伏する奈良公園の芝生を歩いていると、おもむろに侘びた茶室風の蕎麦屋が灯りをもらしていた。

勝手にロマンチックな気分は最高潮となった。

と同時に、隣にいるのがカワイコちゃんでないことに腹が立った。

「なんで一緒におんのお前やねん!ここ絶対もう1回来るわ!彼女と!」

とボクが正直な気持ちを告白すると、

「お前に彼女なんかできるかボケ!」

と罵られた。

若気の至り、小さな記憶である。

とまあホロ苦い記憶が去来した「鹿男あおによし」。

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マジックリアリズム小説

奈良を舞台にしたマジックリアリズム小説で、「鴨川ホルモー」でもそうだったがかなり突飛な設定にも関わらず破綻のない世界観はさすがである。

氏の文章は映像的であることをとても意識している。

映像を感じる描写

剣道の試合シーンが白眉で、カット割りからスローモーションなどの映像効果、音声の抜き差しまで感じらる描写である。

オチの清々しいまでの軽さもいい。

ドラマ化されたらしいのでご存知の方も多いと思うが、久々に人に勧めたくなる娯楽作品である。

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