ここは高知県香美市、旧香北町。
アンパンマンミュージアムのある国道から物部川を挟んだ山間部に、県外からの移住者が営む個性的なお店の点在するエリアがある。
なんでここに集中してるんだろう。
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90年代、伊豆半島のとある僻地にヒッピーのお店が乱立した話を思い出した。
宇宙の波動を強く受ける場所というのがその理由だったが、もしかすると旧香北町も少し磁場が狂っているのかも知れない。
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そんな場所に店を構える「オーチョ」。
大阪から移住したご夫妻が営んでおられる。
自家で養鶏もされており、卵料理が評判のお店。
オリジナルでキャンプ道具の制作販売もされてる。
下段にある手斧、これ刃は土佐刃物。
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オーチョさんとはキャンプがらみでカミさんがSNSで繋がっていて、ヴィレッジに出店されていたときに一度お会いしたことがあった。
来店したのは今日が初めて。
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かなりの豪邸だったろう古民家をリノベーションした店内。
インダストリアルなデザインの薪ストーブがイカツい。
射し込む自然光と薪ストーブの暖気にまどろむ。
シャザムでチェックしたら店内のBGMはこちら、アルトゥール&サブリナという日本在住のブラジル人男女デュオ。
ビール注いでさらにどっぷりまどろみたいね。
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ボクはキーマカレーを。
けっこう独特な盛り付けである。
甘めのカレーに自家卵のオムレツがこれでもかっちゅうくらいによく合う。
そしてコメがやたらに美味い。
カミさんはオムライス。
大衆食堂のカチッと焼いた薄皮オムライスもいいが、ここのは卵自体がイケてるのでフワトロリッチでキメたい。
温冷ミックスのサラダがまたすごい。
とにかく滅法美味いのだが、ボクのボキャブラリーじゃうまく表現できん。
盛り付け美含め、筆舌に尽くしがたいとはこのこと。
とかく高知はサラダに感動する店が多い。
テュケ、ナポリの風、クードゥバレーヌのサラダが記憶に残る。
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とどめの一撃、プリン。
固豆腐を思わせるいでたち、チーズケーキのごとき舌触りにプリンの概念は瓦解する。
音楽やファッションではバックボーンが重要な意味をもつ。
その数や層、組み合わせ如何によってタダのTシャツがまったく別の存在になることもある。
食もそう。
キャンプ道具の制作販売、フルクサス関連はじめ本棚に並ぶアート本の数々、ここ香美市でのアーティストインレジデンスの主催、大阪から高知への移住、古民家リノベーション、磁場の狂った僻地でのカフェオープン、養鶏による自家卵……。
そうしたフィルターを経由して提供されるメニューには自然オーチョの匂いともいうべきものが纏わっていて、容易にコピーできるものではない。
今回ご夫妻とゆっくりお話をさせていただいた。
まことに失礼な喩えながら、ぶどう酒に酔っ払った西欧の海賊を思わせるご主人の風貌が印象深い。
パイレーツオブカミビアン、香美市だけに。