高知で「まるよし」と言えばひろめ市場に近い、時空のひずみに鎮座する丸吉食堂が有名だが、ここにもうひとつの「まるよし」がある。
ご存じの方もいらっしゃるかも知れない。中宝永町にある破れ酒場「まるよし」である。
※関連記事
-->
カウンター6席の狭い店内は、いつも常連さんがひしめいている印象だから、一見客は黙殺されるやも知れぬ。
滞在時間が読めないため、無難にしば漬けからスタート。
入店時の第一声、「焼き鳥やってないよ」は素性の知れぬ一見客への牽制とも取れたが、断固拒否なわけでもなさそうだったので「じゃ軽く一杯だけ」とカウンター隅に滑りこませてもらったわけである。
ん、しば漬け美味いやないか。
高知市から国道494号で越知町へ向かうと、町に入る手前に漬け物屋があるがそこのだそうな。
次第に店主ご夫婦との間合いが詰まっていく。
元は焼き鳥をメインにやっていたが腰をいためてから休止しているらしい。完全にやめたわけではないので焼き鳥のある日はアタリというわけだ。
こちらも興がのってきた。生ビールのおかわりをもらって少し攻めてみる。
温どうふを追加。湯どうふではなくて温どうふ。
これ下に昆布が敷いてあって、レンジで温めてくれたやつを醤油かポン酢で食うんだけど、趣があってなかなかに美味い。
ボクはポン酢で。
「せっかく来てくれたのに焼き鳥なくてごめんねー」と出してくれたのは、白味噌にジャコやら何やらを混ぜたもの。
気がつけば6席のカウンターは満席。常連さんも気さくに絡んでくれてリラックスしたムード。
ハシゴ酒のつもりだけどここ1軒で撃沈でもいいなと思ったところで、また一人常連さんが入店。
この状況で居座りは野暮であろう。乱心を受け入れる酒場という場だからこそ行儀よくありたい。
ロケット鉛筆よろしく押し出し方式で店を後にした。