仁淀川上流の山間にぽつねんと佇む合田旅館。
旅館なのに昼にラーメンを出すと聞く。
それもラーメン趣味が高じて、というやつらしくメニューは他になくラーメンと焼きめしのみ。
皆さんも「どうしてこんなところに旅館が?」みたいなの、たまさかに出くわすと思う。
そんな旅館のオヤジが作る道楽ラーメンとはアツすぎる。
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山間でも35℃を超えるアツすぎる日に、サイクリングの昼メシに寄らせてもらった。
看板もなにも出てないが、自販機の左奥が入り口である。
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ピシーと貼られたチェック柄のナイロンクロスは今はもう買うことはできない。
醤油ラーメン+半チャンをお願いした。
チャリでどっさり汗かいて塩分を欲っする身には少し物足りぬ。
それくらいあっさりして化学味のない清澄なスープである。
かなりの山奥なのだがこのあたり、旅館、呑み屋、床屋、衣料品店、と「ちょっとした町」になってる。
なにがしかの産業で栄えた時代があるんだろうと思っていたら、ここからさらに山の手に、かつて草競馬場があったというのだ。
往時は相当な人出だったらしい。
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草競馬とはその名の通り、JRAとは無関係のインディー競馬である。
高知の農村部にはかなりの数の草競馬場があったようだ。
娯楽としての競馬はもちろん、神事としての奉納競馬も盛んでそれが草競馬の母体のようである。
草競馬の興行でこの僻地に人が集中し、その受け皿として旅館や娯楽施設が造られ、様々な人が流入し「ちょっとした町」ができてしまうのだから興味深い。
ちなみに近くの星ヶ窪キャンプ場も草競馬場の跡地で、麓には同じように「ちょっとした町」がある。
お手洗いは赤矢印の示す、壁板と上がり框の間の細路地の奥にあるので参考まで。
合田旅館のラーメンは毎日出してるわけでもなく、休みを定めてあるわけでもない。
天候や気まぐれに左右されるらしい。
「来るときは電話して。こんな山奥まで来てもらってやってなかったら申し訳ないから」
オヤジさんはそう言ってた。