1年ぶりの松山。
松山といえば道後温泉、道後温泉といえば妙に気になるのが東道後エリア。
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有名な道後温泉本館がある繁華街の南にあるのになぜか東道後である。
まあ気になってるのはそこじゃなくて、東道後には観光地化されていない「地湯」が点在していること。
そんな中から星乃岡温泉へ。
入浴券売り場は野菜の産直市と化し、番台に惣菜やいなり寿司が並ぶローカル感は正しく地湯。
主浴槽は広々と、中央に天使像がおわすために向かいの湯客と視線が交差しない造り。
特筆すべきは水風呂の冷たさで、まるで氷水である。
10秒そこそこしか浸かっておれないが、それでも肌はビリビリと痺れて外気浴の心地よいこと。
確か清香園の大将が「ここしか行かない」と言ってたな。
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地湯を喰らわば酒場まで、と言ったのは誰だったか。
とまれ腰を落ち着けたい。
呑み屋街に挟んだしおりのごとき酒場、大街道にある八乃寿さんののれんをくぐる。
間口は狭く、店内は奥に広い。うなぎの寝床である。
定食や丼などメシ系の充実もさることながら魅惑のメニュー多数、半田ソーメンや長崎皿うどんといった変化球も。
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ネイティブがさらっと使うであろうこうした地の酒場独特の色気を吸い込むと、いつも小さな想いがかけまわりひとりでそうかとうなづいてしまう。
それは友達の家に遊びに行ったときの、ウチとは違う匂いにハッとさせられるあの感覚と似ているかも知れない。
居合わせたのはの親戚同士と思しき年配の男性2人組。親族の誰それが作るざる豆腐は美味かったなどと思い出話に花を咲かせておられた。
ソフトタッチな伊予弁が耳に心地よい。
卓上にあった物騒な調味料。先の牛肉たたきに振ってみればほんの少量でド鋭い辛みである。
聞けば大将が手塩にかけたハバネロとジョロキアを乾燥させて粉末にしたそうな。
手書きのスカルの味よ。
呑み屋でミンチカツがあれば必ず頼むんだが、きのこデミとは手が込んでる。
衣に独特の堅さがあり、スプーンで切り分けるとタルトの底のクッキー部を砕くような手応えがある。
滅法美味。
酒はびんビールからレモンチーハイに移行。
サーモン錦糸巻き。
サーモンは酢〆してあって、ご飯のない巻き寿司の趣き。
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カウンターの目の前がこのようにステンレスの棚になっており、注文したものはここに供される。
また、平らげた皿もここに置いておけば大将が下げてくれる。
で、このだし巻き、どこか洋風の風味があってこってりと美味い。
〆は雑炊と迷っておにぎりを。
具は梅干し、明太子、昆布、鮭から選べる。奈良漬を彷彿する芳醇なおしんこも抜かりなし。
みそ汁に見えるけれどもこれはしじみ汁。
愛媛らしいむぎ味噌仕立て。パラっとかかった山椒の香に酔眼を細める。
先ほどの年配男性2人組はというと、あとから入ってきた20代オーエル2人組に声をかけ、息子の美形をアピールしたり、嫁にきてもらおうかと打診したり、酒を奢るなぞされていた。
ほっこりとした松山の夜に乾杯。