ぱっと見フツーの居酒屋、「ちょいとや」さん。
でも目線を上げて装飾テントを見ますれば、そこには「中華そば」の文字。
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「中華そば 居酒屋」。
こじゃんと気になる。
※こじゃんと=土佐弁でVERYの意
メニュー表のみならず、屋号のマクラにも「中華そば」をもってくるあたり、どうやら腹にイチモツお持ちのよう。
お店は年配のご夫婦でされている。
が、大将はといえば厨房に入らず、カウンター席で焼酎をスイスイ呑んでおられた。
足元がおぼつかず、すでにできあがり状態。
電車通り沿いで最寄りの電停は宝永町、繁華街からもさほど遠くない立地だが、店内はネイティブオンリーである。
ボクらの関西弁から察したのだろう。
泥酔大将が「どっからきたん?大阪?京都?」と訪ねてきた。
それを合図に、カウンターに座っていたネイティブ達がくるりと振りかえり話しかけてきた。
ちょうど、ドラマ「深夜食堂」のあの常連客のなかに混じった感じである。
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普段は常連さんばかりだけど界隈にビジネスホテルが多いので、たまに一見客もくるらしい。
出張や一人旅でこのあたりに投宿されたらば当店をオススメしたい。
ちょいとしたきっかけで思い出の高知の夜になりましょう。
壁に直接書かれたメニュー。
それを隠すように貼られたポスターはビール会社のものでなく、果汁グミ、キシリッシュ、アーモンドチョコなど、なぜかお菓子のそれもMeijiのポスターばかりである。
木金土しかやらないという中華そばは大将の仕事である。
オーダーが入るや先ほどまでの酔眼がバチッと開き、背筋を正して厨房に立った。
シメにドンピシャな優しい味の中華そば。
ほろ酔いの記憶のなかでネギがやけに美味かったように思う。
油通しでもしてたのかな。
「週末はいつもおるからまた来いやー」と、常連さん全員と握手するセレモニーに見送られておいとました。
この「ちょいとや」、もとは屋台の中華そば屋である。
電車通りを挟んで向かいの駐車場で屋台を出していたところ、10年前にこの店舗に移ったらしい。
屋号のマクラは伊達でない。
泥酔大将自慢の中華そばなのである。