ナイスに破れた店を見つけると、とりあえず中に入りたくなる。
美味いの不味いのはまた別の話。店の中に身を置きたいという欲求はインスタレーションを鑑賞する感覚に近いかも知れない。
そして案ずるな、この手の店はたいていアタリだ。
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春から初夏へ移ろうこの季節、戸を開けて中をちょい見せの感にドキドキする。
いずみちゃんに教えてもらった松山の清香園。
裏返したのれんが店のひねくれイズムを表現している。
一見なのに図々しくカウンターに座らせてもらった。というかテーブル席の側は消灯してた。
突き出しはキムチ。
豚モツの専門店かと思いきや、牛や鶏もある。
豚のアゴ焼き、鍋もの、ミンチどうふetc、いいですな。
こぶくろやシンサシは牛か豚か判別がつかない。
まずはホルモン煮込みを。
部位はミックスでパンチある濃い味。
みみのキムチいため。
豚キムチの耳バージョンて感じでバチうまい。
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もともと頼むつもりでいたが、大将が「ウチの右に出るものはいない」と豪語する豚足を焼きで。
焼き豚足とは珍しい。味付けは塩のみ。
ちょっと他ではお目にかかれない「サゴヤシ」という飲みもの。
「サゴヤシ」とはインドネシアなんかに生えてるヤシの木だそうで、そこから採れるデンプンが原料らしい。
浮いてる米粒みたいなのは麹である。
乳酸系の酸味がさっぱりしててボクはかなり好き。
豚耳とか豚足にごっつい合うし、他の焼き物にもいけそうだ。
あんまり美味いんで、お願いして1本テイクアウトさせていただいた。
さりげない筋肉柄のエプロンに大将のキテレツイズムが瑞々しい。
ちなみに大将の頭上にぶら下がる奇妙な白いやつはすっぽんのシャレコウベである。
おそらく他者と違っていないと安心できず、コピー&ペーストでスポイルしようとする権威に反抗してきたアナーキストなのだろう。
なんだか妙に波長の合う店だったな。
大将の人柄というか醸し出すムードも好きで、とても居心地が良かった。
よく見たら大将のズボン、何やら文字がいっぱい書いたるやん。
ステューシーみたい。カッコええなあ。