幻の居酒屋「みろりや」

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高知の山奥にかつてあった歓楽のなごり

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高知県の中土佐町に「みどりや」というスーパーがある。
ごく普通の地元密着型かと思いきや、これが色々とシャレの効いたスーパーで面白い。

この近くの天満宮前キャンプ場でキャンプをしようと、事前にネットで調べていて存在を知ったのだが、スーパーの敷地内に居酒屋があるらしいのだ。

ここは大野見という地域で、四万十川源流に近いかなりの山奥だ。
よろず的に食品を扱う店がぽつぽつあるくらいで、飲食店は皆無に等しい。
「山」、「川」、「森」、「畑」、「田」、「たまに民家」ときて、次いきなり「居酒屋」という図式である。
地域の文脈から外れているとでも言おうか。
この類のお店は田舎のロードサイドでたまに見かけるが、何もない山道に忽然と現れる赤ちょうちんやネオンは、妖しくもあり牧歌的でもある。

お店のさらなる情報を求めたが、ネットでもほとんど引っかからない。
わずかに得た情報が以下。

・一晩一組限定
・屋号は「みろりや」
・酔って呂律がまわらないから「みどりや」でなく「みろりや」
・店内厨房があり弁当や惣菜が充実してる

「みろりや」とはなんとも粋すぎる屋号。これだけでも行く価値がある。
キャンプをした翌日、昼飯がてら寄ってみた。

惣菜の名前がなんかおかしい!

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店内は惣菜をメインにすえて、飲み物、菓子類、生活雑貨など、スーパーというよりはコンビニに近い品揃え。
で、昼飯を物色しようと惣菜を見ると…….。
「なんじゃこりゃ?」。

危険な麻婆豆腐。
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おとなの玉子焼き。きみにはまだ早い。
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人参しりしり。あ、これは普通か。
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むかしのポテトサラダ。
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悪ふざけなキャッチフレーズってバランスが難しくて、ちょっと気恥ずかしくなるものが多いけど、ここのは軽妙洒脱にすら思えるから不思議。
なんだろう。ひねりすぎない塩梅なのかな。

物色していたら、次から次へと揚げたての鶏唐揚げが運ばれてくるではないか。店内に充満するスパイシーなかほり。
そう、実はこれがここの名物。
ネットで調べてた時、同じ「みどりや」の名前で唐揚げの移動販売のことがやたらと出てくるので、紛らわしいなと思ってたら同一「みどりや」だったのだ。

パーリーピーポーな唐揚げ屋さん

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この「キチキチチキンキッチンカー」で須崎市や四万十町あたりまで遠征しているらしい。
この日は駐車場にスタンバッてたけど、実際の販売風景がまたすごいので「奥四万十博BLOG」から引用させていただく。

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どう、このパーリーピーポー感!
BGMはジョージ・クリントンでよろしくどーぞ!
失礼ながら、昭和臭漂う山奥の小スーパーの仕業とは思えない今っぽいセンスである。
そりゃあ同じ「みどりや」だと気づかないはずだわな。
おそらくは代がかわって現在の若旦那によるアップデート版「みどりや」なのだろう。

ホームページもあって、曜日ごとの出店場所が書いてあるのだが、そのローカル感よ。
「木曜、葉山、(旧)豚太郎跡地」とか地の人しか
わからんよ。

ボクのような県外の人間がたどり着くにはハードル高すぎである。

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幻になった居酒屋

閑話休題、「みろりや」の話。
店番をしていた年配のご主人に聞いてみた。
店舗の隣の厨房となっている棟が「みろりや」だったが、残念ながら今はもうやっていないという。
話しぶりから察するに、おそらくこの方が先代であり「みろりや」の主催者だ。
現役のころは夜な夜な「みろりや」で宴を饗したのだろう。
表現方法こそ違えど、先代もまたパーリーピーポーだったのだ。
今は唐揚げの移動販売が忙しく、そちらに専念しているのだとか。
いつか落ち着いたら新生「みろりや」として復活されることを切に願おう。

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