90年代はじめ、大阪でカルト的な人気を誇った「ネーポン」という清涼飲料水があった。
どこかインチキ臭く、今思えばけっこうパワーワードなネーミングは「ネーブル」と「ポンカン」を組み合わせた造語である。
つまり柑橘系の清涼飲料水。
ツルヤ食料品研究所が製造し、当時は駄菓子屋、銭湯、喫茶店、競艇場なんかで飲めたらしい。
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ボクがネーポンを知ったのは「たけし・さんまの世界超偉人伝説」という特番である。
番組ではネーポンが飲めるという「アジアコーヒ」なるこれまたビザールな喫茶店が紹介されており、ハタチそこそこの青二才だったボクは完全にブッ飛ばされた。
そう、ネーポンはアジアコーヒとセットで語る必要がある。
アジアコーヒはかつて阪神エリアにチェーン展開していた喫茶店である。
「たけし・さんまの世界超偉人伝説」で紹介されていたのは玉造にあった日の出通り店。
メニューはネーポンとインドカレーのみでコーヒーはないというフザけた店だ。当時はネットがなかったため店の場所がわからず、まあいずれと呑気に構えていた。
ありし日のアジアコーヒ日の出通り店(1995年頃撮影・大阪市玉造) pic.twitter.com/WQ92O8bkx9
— 昭和レトロ香ばしい町並み (@koubashimachi) December 8, 2014
後にたまたまタウン誌か何かで住所を知るが時すでに遅し、アジアコーヒは跡形もなくなっていた。
Wikiによれば1997年に閉店、その翌年に建物は解体されている。
それから10年、ネットを使うようになり、ふと思い出してアジアコーヒを検索してみた。
なんと、都島店がまだ現役だという。
さっそく訪れたもののメニューにネーポンはなく、おざなりにコーヒーを飲んだ苦い思い出がある。
製造元であるツルヤ食料品研究所は2007年に廃業していたのだ。都島店でネーポンを扱っていたかは不明だが、いずれにせよまた一歩遅かったわけだ。
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時代は下がって2019年、なんとネーポンが復刻されたという。
仕掛けたのはツルヤ食料品研究所からオフィシャルでレシピを受け継いだネーポン田中さんという大阪の方。
あの日、あと一歩のところで指からこぼれ落ちていったネーポン。それが十数年の歳月を経て、今確実に飲めるというのは軽い興奮を覚える。
ウチで扱わんわけにはいくまい。
復刻版は4倍濃縮のシロップなので、水で割ってネーポンとして飲むもよし、炭酸で割ってネーポンソーダもよし、むろん酒で割って呑むもよしである。
恥ずかしながら復刻の報を知ったのが2022年。
大衆酒場Day&Seaではキンミヤ焼酎と炭酸で割ったネーポンサワーとしてお出ししている。
今後ソフトドリンクとしても展開していきたい。
関西ローカル、伝説のカルトドリンク「ネーポン」、ぜひお試し下さい。
販売はYahooショッピングのみのようです。
「たけし・さんまの世界超偉人伝説」の動画も貼っておきます。