田んぼにこんもりコンクリ建屋。
牧歌的である。
-->
古墳のようであり、未来少年コナンの背景画のようでもあり、奇矯な呑み屋に見えなくもない。
これ、「掩体壕」といって戦争遺跡である。
平たく言えば敵の攻撃から飛行機を守るガレージ的なやつ。
こうして草木にのまれたのも含めて全部で7基残ってる。
場所は南国市の前浜地区。
すぐ隣にある高知龍馬空港の前身が旧日本海軍の航空基地だから、戦時中の南国市は軍都だったのだなあ。
お、路地の先にもう1基見える。
5号掩体は整備されて公園になってる。
ベンチもあるし無駄に弁当持ってきたくなるね。
-->
こんな感じで飛行機を入れるわけだけど、ピッタリサイズだろうから車庫入れ気ぃ遣っただろなあ。
造形が美しい。自分のものにしたくなる。
ほんとに呑み屋だったらなあと妄想にかられる。
きれいなシンメトリーだから中はあえてゴッチャゴチャがいいね。
左側は中二階のVIPルーム、その下は座敷席だな。
右側は厨房を取り囲む巨大なコの字カウンター、外側はテイクアウト窓みたいになってて立ち呑みカウンターと、そんな感じ。
お、向こうにもう1基。ありゃデカいな。
この4号掩体は幅44m、高さ8mもあって現存する国内最大級らしい。
造形的にはこれが一番好き。
なだらかな曲線と直線の対比はシンプルにして見ていて飽きないデザインである。
凸の出っ張りが小さいのがいい。
静かな場所である。
掩体は今や周囲の風景に完全に溶け込んでしまってまさに牧歌的、違和感もない。
一方でボクが立っているこの場所で、のるかそるかの会話を交わす兵士を想像したりもする。
掩体にはそういう生々しさもある。
老朽が激しいので、見学の際はコンクリート片の落下にご注意を。