旅先で呑むビールは格別である。
そんなら呑み屋に旅するのもアリだなーなんてヘラヘラと徳島の小松島市へ一泊旅行とシケ込んだ。
-->
ボクが小松島に興味をもつきっかけとなったのがこの「味11番地」という呑み屋である。
屋号は「南小松島町11番地3号」という住所に由来する。
お隣にぴたりと寄り添うお好み焼き「山茶花」は大将の奥さんが営むお店。
電話回線は共有で「味11番地」にかけたら「山茶花」につながるというイレギュラーさ、「味11番地」でもお好み焼きの注文が可能という融通無碍がたまらない。
ジャッとひとっ風呂浴びてからのビンビールはもっとたまらない。
ボクは知らん街に来たらまずビールを一杯呑んでその街にご挨拶するようにしている。
ビールの泡には旅先の空気が内包されていて、それを呑むことで知らん街に溶け込めるような気になるのである。
グリングリンのタコとテラッテラのシマアジ。
さすが港町、魚介に間違いはない。
みんな大好きアサリの酒蒸し。
個人的には黒胡椒ガリガリとふりたくなるんやがどうでしょう。
お店は大将のワンオペ、なおかつクセ強め。
入店一杯目の「呑みもんなにしましょ?」とかないし、カウンターの常連さんと話し込まれると追加注文を付け入るスキもない。
大縄跳びみたくタイミング見計ってたら一生注文できんぞ。
当たって砕けてねじ込め2杯目。
大将は洋食畑ご出身との話も聞く。
なるほどメニューにはヘレステーキやポークチャップがおもむろに並ぶ。
ヘレカツをいただく。
オールドスクールな洋食屋で食えるコクと苦味の効いたデミソースがビールにメッチャ合う。
すじコン。
上澄みのように透明な脂の美味さよ。
カウンターの中に黒板メニューがあるでしょ?
奇っ怪なことに刻々とメニューの配置が変わるんである。
左の列にあったのどぐろが気づけば真ん中の列に移動していたり、下にあったクジラ竜田揚げが上に移動していたり。
横線引いて品切れだった白子ポン酢が急に注文可になったのも不思議。
ワンオペで忙しい中いつの間に書き換えているのか、はたまた文字が勝手に移動してるのか。
どこまでも変拍子なノリがやっぱりたまらない。