新しいコンテンツ、「音楽夜話」始めました。
ボクも音楽は好きなほうである。
日々Apple Musicであれこれと聴きちらかす中、なんらかの感想や意見が生じるのは必然。
でもそれはニコニコ動画上のコメントのように現れては消えていくわけで、それってもしかして流れてくるソーメンにハシを出さず、ただ眺めているのと同じ愚行なんじゃないかとハタと思い立った次第。
マニアックな音楽批評ではなく、アーティスト情報を羅列したようなレビューでもない、ボクの主観や感度を軸にサクッと書いた音楽エッセイになればよいなと考えている。
では早速、ひとつめのソーメンをすくい上げてみたい。
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Hardfloorの「Business Of Baselines」
TB303というシンセサイザーをご存知だろうか。
通称「ベースライン」といい、ビキビキだのウニョウニョだの独特の音をひねり出す電子楽器である。
この音を多用したダンス音楽がアシッドハウスであり、ハードフロアはアシッドハウスで一世を風靡したドイツの2人組アーティストだ。
若かりし頃、ボクはアシッドハウスに夢中になった。
TB303の禍々しい電子音とナーコティックなハウスのキック音、DJが延々と紡ぐループがもたらすトランス感覚に取り憑かれたのである。
ダンス音楽には終わりがないことが重要だった。
ハードフロアの出世作とも言える「アクペリエンス1」は10分近くもある。
いつまでも終わらないこの長尺曲にボクらアシッドヘッズは狂乱したのである。
あれから25年、悪く言えばワンアイデア、良く言えば軸をブらさず淡々とアルバムをリリースしてきたのは横目で見ていた。
この度、ニューアルバムが出るというので聴いてみたらこれが思いの外グッときた。
あの頃と変わらない、スイングするような音の「揺れ」があった。
この「揺れ」こそハードフロアの真骨頂である。
そして「揺れ」にチューニングを合わせると、あの頃と同じようにそのまま持ってかれたのである。
往時、ハードフロアのLIVE会場でのこと。
知り合いのDJが近づいてきて嬉しそうに両手をフワフワさせながら「テクノなんやけどスイングしてるよな」と言っていたのを覚えている。
「1,2,3でバックビート、スイングしてねばるベースライン」とは日本のバンド、くるりの「ワールズエンド・スーパーノヴァ」の歌詞だけど、そう言えばこの曲もアシッドハウスですね。
ジャケットデザインを’90sにテクノ界隈で活躍したデザイナーズリパブリックが手がけているのも嬉しい。
もしかして’90sリバイバルきてるのか。