鉱山跡か遺跡のようなこの奇観。
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「遊子水荷浦の段畑(ゆすみずがうらのだんばた)」という。
一般的な段々畑のイメージとは少し違う。
ほとんど壁といっていい断崖に小刻みに段をつけ、わずかな平地をたくさん造ってまとまった平米数を稼いでいる。
丁寧に石垣で造成された畑ひとつひとつは細胞であり、段畑に佇むとなにか巨大な生き物の臓腑に呑まれた心地である。
界隈には同じような段畑がいくつも見られるが、この遊子水荷浦のものが最も規模が大きい。
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宇和海の特徴はリアス式海岸である。
海に向かって枝分かれする無数の細尾根は、マンデルブロ集合を思わせる幾何学的な地形を作ってる。
細尾根の斜面はそのままストンと海へ切れ込んで平地がない。
絶壁を平地に置き換える段畑は、宇和海沿岸の半漁半農といわれる生活スタイルの智慧の産物である。
麓には駐車場、食堂、売店、トイレがある。
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段畑の遊歩道へは駐車場から道しるべがついてるので迷うことはない。
ここからつづら折れで頂上まで上がっていける。
が、遊歩道とはいえ地元の方の仕事場だ。
飲食しながらの散策は避けるべきだし、畑への立ち入りは当然NG。
大声で騒ぎ立てず、地元の方がいれば挨拶を心得たい。
濃密な生活空間であり、神聖な仕事場を見せてもらっているという念を忘れてはいけない。
こう言うとまれに「そう書いておくべき」というバカがいる。
想像力というものが無いのかね。
上るにつれ宇和海の絶景が眼前に広がる。
入江という地形のなんと美しいことよ。
ドローン映えするだろうな。
写真だとこのダイナミズムが伝わらんので動画もどうぞ。