「井倉木材」という、奇矯な屋号を冠した酒場が京都にある。
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まじに材木屋さんの一角が立ち呑みになってる。
店内は10人も入れば満杯だろうか。
よそ者のボクらは外の席へ。
雪チラついてるけど、足元に1人1台ストーブを置いてくれてほっこり。
ひと昔前なら立ち呑みのアテなぞタコわさと小芋とテキトーな揚げもんがあれば御の字だったが、最近は立ち呑みも進化してる。
メニューだけ見ればちょっとええとこの小料理屋だ。
ドリンクも全くぬかりない。
髪の毛から爪先まで美学の貫かれたたラインナップは、まるでチェッカーズ後期のフミヤのファッションを見るよう。
しまった「かすとり」を頼むの忘れてた。
あのアカン酒を置いてるのがオシャレ。
「本日のドススメ」以外にも色々あってどれもそそる。
「素揚げのマルシン」、「セレブのマルシン」などネーミングもひと捻りある。
ポテサラ90円。
たいていまわりから食べ進めるのでチップスターが棒倒しみたくなってくる。
「チップスター食べてね」と言ったほうが負け。
ブリのたたき。
わら焼きじゃなく炭火で炙ってカラシで食うスタイル。
つぶ貝わさびと燗酒。
「雲子」って知ってる?
京都ではフグの精巣を白子、タラは雲子と呼ぶそうだ。
他の地域は両方一緒くたに白子だと思うけど、よく考えたら白子とだけ言われたらどっちの白子食ってんのかわからんよね。
夏に熱々のカレーうどん食うみたいに極寒の中、かにみそのルイベを食う。
シャーベットを燗酒で溶かす風流に目を細め。
お、えびパンとは懐かしい。
相生橋筋にあったくわ焼きの名店「たこ坊」でよく食ったな。
これめちゃ美味いのでウチでもやってみるか。
ところでふと思い出した。
12、3年ほど前、大阪の安治川の南側、地名で言うと大阪市西区本田、川口の辺りで、クルマの整備工場の中にある立ち呑み屋を見たことがある。
同じように寒い日で、透明のナイロンカーテンを透かしてカウンターで数人のオッサンが一心不乱に酒を呑んでるのが見えた。
その場では店に入らず、後日改めて行ってみたら立ち呑みなど見当たらない。
当の整備工場すら特定できなかったというキツネにつままれたような話。
かなりローカルな道路だったが、すぐ向かいに市バスのバス停があったように思う。
バス停名はもち失念。心当たりのある方、情報をお待ちしています。